先取特権とは、法律に定められた特別の債権を有する者が、債権者の財産から他の債権者に優先して自己の債権の弁済を受けることができる権利です(民法第303条)。
この先取特権は、抵当権や質権とは異なり、法律上当然に生じる権利です。
先取特権
先取特権には、次の3種類があります。
①一般の先取特権
②動産の先取特権
③不動産の先取特権
一般の先取特権
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する(民法第306条)。
一 共益の費用
二 雇用関係
三 葬式の費用
四 日用品の供給
※なお、マンションの管理費等はこの一般の先取特権のうち共益費用の先取特権となります(区分所有法第7条第2項)。
動産の先取特権
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する(民法第311条)。
一 不動産の賃貸借
二 旅館の宿泊
三 旅客又は荷物の運輸
四 動産の保存
五 動産の売買
六 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
七 農業の労務
八 工業の労務
不動産の先取特権
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する(民法第325条)。
一 不動産の保存
二 不動産の工事
三 不動産の売買
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