区分所有法第59条による競売は、問題のある区分所有者の区分所有権を売却することによって、その区分所有者から区分所有権、つまりは居住権を剥奪することにもつながるため、共同生活上の障害が著しく、競売請求以外の方法では他の区分所有者の共同生活の維持が困難である場合に適用される。
言い換えれば、管理組合側がとことん手を尽くした結果が裁判官に伝わらなければ、管理組合の競売請求が却下される判断も少なくない。
滞納額70万円、滞納期間1年半で59条競売
そうした状況下、管理費等の滞納金について支払訴訟提起時点での滞納額70万円、滞納期間1年半で59条競売の認容判決が平成25年1月に言い渡された。
事案
平成24年3月 | 管理組合と滞納者との間で分割合意をするが1回も守られなかった |
平成24年7月 | 簡易裁判所に滞納管理費等の支払いを求める通常訴訟を提起 |
平成24年10月 | 管理費支払訴訟の認容判決(欠席判決) |
平成24年10月 | 管理組合は臨時総会を開いて59条競売訴訟の提起を特別決議で可決 総会に先立ち、滞納者に「弁明の機会を付与するので総会に出席願いたい」旨の通知を出したが、滞納者は出席しなかった。 |
平成24年11月 | 地方裁判所に59条競売を求める訴え提起 |
平成25年1月 | 欠席裁判により59条競売が認容された |
平成25年2月 | 判決のもとに59条競売を申し立て |
平成25年3月 | 競売開始決定 |
平成25年8月 | 入札開始、売却決定 |
平成25年10月 | 区分所有者が変更 |
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