【問題】
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第107条に規定されている耐火性能に関する技術的基準に関する次の記述のうち、誤っているのものはどれか。なお、本問いにおいて「要求耐火時間」とは、通常の火災による加熱が加えられた場合に、建築物の当該部分が構造体力上支障がある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないで耐えなければならない時間をいう。
1 要求耐火時間としては、30分間、1時間、2時間、3時間の4つが規定されている。
2 高層建築物の柱、はりの要求耐火時間は、高層階ほど長いものとなっている。
3 壁及び床については、要求耐火時間以外に、加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の上昇温度についても規定されている。
4 外壁及び屋根については、要求耐火時間以外に、屋外に火災を出す原因となるき裂そのたの損傷を生じないものであることが規定されている。
【管理業務主任者試験 平成24年第21問】
耐火構造とは、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう(建築基準法第2条7号)。
本問いでは、「政令で定める技術的基準」について問われています。
【解答】
1 ○ 「要求耐火時間」は30分間、1時間、2時間、3時間の4つに規定されています。
法第二条第七号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする(建築基準法施行令107条)。
次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること(建築基準法施行令107条1号)。
← 高い 低い→ | ||||
建築物 の部分 |
建築物の階 | ①最上階及び最上階 から数えた階数が 2以上で4以内 |
②最上階から数えた 階数が5以上で 14以内の階 |
③最上階から数えた 階数が15以上の階 |
壁 | 間仕切壁 (壁力壁に限る) |
1時間 | 2時間 | 2時間 |
外壁 (壁力壁に限る) |
1時間 | 2時間 | 2時間 | |
柱 | 1時間 | 2時間 | 3時間 | |
床 | 1時間 | 2時間 | 2時間 | |
はり | 1時間 | 2時間 | 3時間 | |
屋根 | 30分間 | |||
階段 | 30分間 | |||
1.この表において、建築基準法2条1項8号の規定により階数に算入されない屋上部分がある建築物の部分の最上階は、当該屋上部分の直下階とする。 2.屋上部分については、この表中最上階の部分の時間と同一の時間によるものとする。 3.この表における回数の算定については、建築基準法第2項1項8号の規定にかかわらず、地階の部分の階数は、全て算入するものとする。 |
2 × 高層建築物の柱、はりの要求耐火時間は、高層階ほど短い
上記の表を参照。
3 ○ 壁及び床については、要求耐火時間以外に、上昇温度についても規定。
壁及び床にあつては、これらに通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること(建築基準法施行令107条2号)。
3 ○ 外壁及び屋根については、屋外に火災を出す原因となるき裂そのたの損傷を生じないものであること。
外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあつては、三十分間)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること(建築基準法施行令107条3号)。
したがって、解答は2です。
解答欄にある表の詳細は覚える必要が無いとは思う。
建築基準法施行令の条文から出ると、建築士を目指いしている気分になっていしまうが、具体的にイメージをもてれば、それなりに解けるかもしれない。あとは、読解力ということか・・・。